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すると不意に木々が少し開けて、その真ん中にぽっかりと小さな湖がある場所に出た。湖にはオレンジ色の満月が揺らめく湖畔の上に映し出されていた。月明りはスポットライトのように、湖とその周りに咲く薄紫色の花々を照らしているかのようだった。
「わぁっ!」
昔、お母さんに読んでもらった絵本の挿絵に似ている幻想的な風景だった。男の子の茶色の髪の毛もまた月明りに照らされ、絵本に出てくる妖精のように思えた。
私は男の子の横顔を見つめ、もう一度、この風景を目に焼きつけた。
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