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オレが小学校に入学したばかりのころ、三年一組の昭兄と志信のクラスに、東京からの転校生がやってきた。
垢抜けた美人で明るい性格の彼女は、またたく間に田舎の小学校内のアイドルとなった。
彼女には、昭兄と志信との三角関係のウワサがいつもつきまとっていた。
アイドルゆえに休み時間や放課後になると、他クラスの校内パパラッチにこっそり後をつけられ、昭兄と神社の裏でリコーダーの練習をしていたとか、休んだ日のノートを志信に貸してもらっていたとか、彼女に関するウワサは、どんな些細なことでも全校生徒の耳に行き届くようになっていた。
昭兄と志信のどちらを選ぶのか。
みんなが知りたがったその結末は誰にも知らされないまま、彼女は一年後、また東京の学校に転校していった。
アイドルが去ったあと、校内の盛り上がりは一気に沈静化し、一か月も経つと誰も彼女のウワサ話をしなくなった。
みんなが忘れてしまってもオレだけはずっと覚えていた。
いやでも耳に入ってきた、あの忌々しいウワサの数々を忘れるわけがない。
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