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「はい、ビール」 「それ父ちゃんのじゃねーの?」 「しのが飲んだって言ったら、喜ぶと思うよ」  プシュッとプルトップを開けて手渡す。 「じゃあいただく」 「どうぞ」  ビールをあおった志信の喉仏のダイナミックな動きに、しばし見とれてハッと我に返る。  座布団を用意し、テレビの電源を入れてリモコンを志信に渡すと、急いで台所に向かった。  近所からお裾分けしてもらった枝豆を茹でてざるに上げ、もろきゅうと、作り置きしておいたなすの煮浸しと一緒に卓袱台に運んだ。  テレビの音に混じって、開け放った障子の向こうからカナカナとひぐらしの鳴く声が聞こえる。  野球のナイター中継を見ながら、二人で黙々と豆と箸を口に運んでいたら、皿はあっという間に空っぽになった。  食べるものがなくなると間がもたなくなって、オレはさやだらけになったざると皿を持って、ふたたび台所に向かった。
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