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「なんかほかに食べる?」
「もう腹いっぱい」
「ビールは? 冷酒もあるよ」
「いいよ、そんなにおもてなししてくれなくても」
冷蔵庫に手をかけて振り返ると、志信が笑った。
オレがちょこまかと忙しなく動きすぎるから、リラックスできないのかもしれない。
でも志信に居心地よくいてもらうために、なにをすればいいのかわからないのだ。ヘの字口でじっと見つめていると、志信が居間から手招きしてくる。
「なに?」
「おいで」
呼ぶだけでなんの用か言わない志信に近づく。
「ひざまくらして」
「は?……なんで?」
「いいだろ。一年に一回しか会えないんだから、それくらいしてくれても」
「……はあ?」
「はあじゃねーよ。いいよ、って言え」
「酔ってるの?」
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