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「夏生の無口は父ちゃん似で、世話焼きなのは母ちゃんに似たのかもな」  太ももに響く柔らかい声に、背中が震える。  家についてからの、無言でちょろちょろ動き回るオレの行動を見て、志信はそんな感想を述べた。  父さんと昭兄に家事をさせると、鍋を真っ黒に焦がしたり風呂をあふれさせたまま出かけたりするため、母さんが死んでからは、家のことは全部自分が受けもっていた。  もともとそういうことが嫌いじゃなかったため、世話焼きは体質なのかもしれない。  無口なのは声がコンプレックスなのもあると思う。 「俺、夏生のそういうとこ、好きだ」  さらっと言ってのけて、志信はゴロリと寝返りを打った。  真上を向いた顔を直視できず、志信の目を手のひらで覆う。 「おい、見えねーんだけど」  オレの手を外させようとした志信を制止する。 「しゃべんないで、動かないで」  これ以上、二人だけの空間でこんなふうに密着していたら、簡単に気持ちがばれてしまいそうだった。  画面の中のホームランを打って悠々と走っている男をにらみつけながら、太ももに乗ってるのは志信の頭じゃない、ただの置物だと自分に言い聞かせることで、オレはなんとか冷静を装おうとした。
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