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「なんでしゃべったらダメなんだよ」
目が隠れている志信の口が楽しそうに横に伸びる。
置物なんだからしゃべらないで、と言おうとしたとき。
「夏生、結婚しよっか」
「…………?」
突飛な言動で驚かされることはいつものことだが、いつにも増しておかしなことを言われた気がする。
そもそも男同士で結婚はできないんじゃないかと真面目に考えてる場合じゃなくて、これは志信の冗談だ。
ボケているのだから、つっこまないと。
頭ではそうわかっていても、このひざまくらという密着した状況下での突然の奇想天外すぎる冗談に、オレは口をパクパクさせるだけで声を発することができなかった。
とにかく、このひざまくらを終わらせないとダメだ。
酔って言動がおかしくなっている志信の頭を、あわてて太ももから退かそうとした。
しかし手で押してみても、志信は力を入れているのか、それとも本当に置物になってしまったのか、重くて動いてくれない。
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