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「毎日おまえが料理するうしろ姿見ながらビール飲んで、そのあとひざまくらしてもらう」
「オレ、もうしないから」
「そんでうっかり寝ちゃってさ。布団で寝なよ、って言って起こされんの」
「オレ、そんなこと言わないよ……!」
ピクリともしない頭を必死で持ちあげようとしていると、その手をとられ、頭のほうが意思を持ってごそっと動いた。
「じゃあ夏生は、なんて言って俺を起こす?」
見上げてきた目と目が合う。
なんでこんなふざけた話を、そんな真剣な顔してするんだろう。
まっすぐ見上げる視線に突き刺されると、オレの心臓はちょっと危ないくらいに暴走しだす。
「しの、実は、すごい酔ってるでしょ」
志信ってこんなに酒に弱かったっけ。
まだ十九歳のオレは一緒に飲む機会がないから知らなかったけど、きっと志信は酔うとわけのわからないことばかりしゃべる人なんだ。
見つめられ続けることにたえられなくなってさっと志信から視線を背けると、心臓が内側から突き破ってきそうな胸を手で押さえた。
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