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「酔ってるよ。でなきゃ言えねーよ、こんなこと」
むにゃむにゃと、またわけのわからないことを言ってしばらくすると、志信は寝息を立てはじめた。
真下にある意識を手放した顔に、そっと手で触れる。
オレがもし女の子で、本当に志信と結婚することができたら、毎日この寝顔を独占できるのに。
けして叶わない夢を想像しながら、オレは志信を起こしてしまわないよう、こっそりと囁く。
「しの、布団で寝なきゃ、だめだよ?」
返事をしない志信の頭を、今度こそ太ももから降ろして折った座布団を枕にすると、オレは丸まった体にそっとタオルケットをかぶせて大きく息を吐いた。
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