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「年上のモデルさんと、付き合ってるの?」 「看護師って言ってたんは、違うの?」 「それより、花屋の娘とはどうなったんよ、志信ちゃん」  田舎暮らしでゴシップに飢えてる主婦たちが、芸能リポーターさながらの遠慮のなさでまくしたてる。  輪の中央にいる志信はそんな押しの強さをはねのけるように、体をくの字に折って噴きだした。 「どれもこれも、根も葉もなさすぎ! どっからそんな情報流れてくるんだよ」  一年かけてかき集めた情報が真実でないと告げられてしまったため、納得できない主婦たちはなおも志信につっかかる。  美容師にOLに教師と、つぎつぎ出てくる女性の職業にイライラをつのらせていると、ふいにひとりの主婦がこっちを振り返った。 「あら、なっちゃん」  張りのある声につられて、ほかの皆も振り向く。 「今日の花火、楽しみにしてるからね」  口々に期待の言葉をかけられたが、突き刺さる一対の視線のおかげで、彼女たちの言葉はほとんど聞きとれなかった。
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