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会話の合間に繰り返される軽いキス。
上唇から下唇に。唇のはしっこに。角度を変えて、何度も何度も。
あぁ……早く。
その唇を全身で感じたい。
「ん……ん……カズ……」
「なに?」
「帰ろ?」
繰り返されるキスの軽さに焦れた俺は提案した。
「帰ってもっと……ちゃんとしねー?」
ふ……っとカズが暗がりの中笑う。
「お前は本当、正直でいいな」
「だって俺は……」
「直生、だもんな」
小走りで帰る春の夜道。まだまだ風は冷たいけれど。
逸る気持ちに軽く汗ばみながら、俺は考えた。
花よりも団子よりも酒よりも……。
やっぱり愛だよな。
【花よりも団子よりも・完】
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