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轟々と火の手が上がり、城下の民が容赦なく殺されていた。
城は燃やされ、王都・渓水は火の海となる。
そうして鷲国は冬雹により、一夜で滅ぼされてしまったのだ。
奴らが引き上げて行く荷車の中に潜り込んだ僕は、朱国の酒に酔った野蛮な兵らの会話を耳にした。
「聞いたか?陛下が鷲国のまだ幼い姫を、奴隷にするって話。」
「ああ、聞いた、聞いた!陛下も悪いお人だよなあ!
あんなチビっこい姫に一体何させんだって話だよ!」
「俺が聞いた話だと、朱国に連れ帰ったら側室にするらしいぜ?」
「はあ?まだあんなチビっこいのを!?
陛下とは一体何歳離れてんの?
ここだけの話、陛下はとんだケダモノだな!
あははは!」
笑うな!
野蛮な朱国兵め……!
氷水は朱国の下衆な皇帝の側室になるような娘ではない!!
彼女は…どこかの高貴な方と結婚して、幸せになるんだ!
だから氷水に触るな……任冬雹!!
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