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翌年には科挙試験に一発合格し、僕は下級文官として宮廷に潜り込むことに成功する。
そこで、15歳になり子を産んだ氷水とようやく再会したのだ。
氷水は…太子を産んだ功労者として、その年には皇后になっていた。
しかもあの残虐な冬雹に寵愛されているという。
皇后として煌びやかな衣装、宝石で着飾り、華やかな生活をしているものの、その表情は暗く堅く。
鷲国にいたあの頃の無邪気な彼女はもうどこにも居なかった。
文官として氷水と接触する機会はそれほど多くはなかったが、たまに周囲の目を盗んで氷水が外廷(※政治などを行う機関)に足を運ぶ際に会いに行った。
「……駄目よ、鼬瓏!
私に会ったことが冬雹にバレたら、殺されるわ!
それでなくとも貴方は滅んだ鷲国の者なのに…」
「大丈夫だよ、氷水…絶対にヘマはやらないから。
それよりも氷水、君…
あの憎き皇帝の子を産んだの?」
「ええ……そうよ、無理やり。
無理やり側室にされた挙げ句に妊娠したわ。
…何度堕ろそうとしても周囲に見つかって…
子を産むまで監視されたわ!
産みたくなかった…私、あんな憎い男の子供なんて産みたくなかったのよ、鼬瓏!」
可哀想な氷水。
何と残酷なことだろうか。
自分の両親を殺し、国を滅ぼした憎い男の、子を産まされるだなんて。
すっかり痩せてしまい、まるで骨と皮だ。
あんなに無邪気な氷水を変えてしまった冬雹が憎い。その子が憎い。
「……子を殺したいわ、鼬瓏。
憎いの。
冬雹に似たあの子が本当に憎いのよ。」
そう言って啜り泣く氷水の肩を抱き寄せる事もできない、意気地なしの僕。
けれど氷水が何を求めてるかは理解した。
「…なら氷水、
本当に子を殺してしまうんだ。
大丈夫、事故に見せかければいい。僕も手伝うよ。」
君を悩ませているものが自分の産んだ子だと言うのなら殺せば良い。
それで君の気が晴れるなら、絶対にそうするべきだ。
憎い子など殺して君は自由に。
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