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なのに、氷水は何年も迷っていた。
憎いはずの男からの寵愛をようやく失い、子を殺せば全ての悩みが解決するはずなのに彼女はそうしなかった。
憎しみと…愛情の狭間で君はどれほど苦しんだのだろうか。
スクスクと育っていく太子、雲嵐を見ながら君は…………
「…憎いのよ、あの子が。
本当に嫌いなの。
だから昨夜だってあの子の背中を叩いてしまったわ。
…でも。
でもね、鼬瓏…憎いのに、あの子を殺すのを躊躇っている自分がいるのよ。
憎いのに……あの子に愛着が湧いてしまうの。
憎いのに……あの子を愛しているのよ?
これって、おかしな感情でしょ?」
駄目だよ氷水。
憎いなら愛さないで。
君の全てを奪った皇帝も、その子も君は憎み続けなきゃ駄目だ。
……愛したら駄目だよ。
でもそれでも迷ってるなら、僕と行こう…?
子を置いて、僕と逃げよう。
君には昔のように自由で、いつも微笑んでいて欲しいんだ。
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