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鎮火していく炎とは異なり、雲嵐の纏う覇気はさらに強まっていった。
劉帆は憎い雲嵐を、力強く睨みつけた。
「任……雲嵐………!!」
目の前に現れたこの男を殺す事が最大の目的だった。
愛しい氷水の命を奪ったこの朱国皇帝が憎かった。
あれから……復讐のためだけにこの人生を捧げてきた。
血の滲むような努力を重ねて官位を上げ、名前を「金劉帆」と改めて、丞相になるまで昇り詰めた。
冬雹を葬り去るために、皇太后にも取り入った。
憎い女と幾度も体を重ねた。
肉体など、どうでも良い。
もう何度も穢れた自身の身体に執着などない。
それはただの愛のない、肉の塊がぶつかり合うだけの虚しい行為なのだから。
常に策略を巡らせ罠を張り、一族に伝わる妖術を捻じ曲げ、邪術を編み出し、それを使って任雲嵐を殺害しようと目論んだ。
柳静芳や皇太后だけでなく、雷浩宇とも密かに手を組み、氷水を助ける事を諦めた雨音を利用した。
しかしこの男は馬鹿な冬雹とは違い、どこか賢かった。
仕掛けた術からこの男を守るのは、いつも煩わしいほど皇帝に忠誠を誓う今の「影衛隊」。
奴らによって皇帝は何度も危機を脱し、そして雪玲妃に似た女達の手によって、ずっと守られてきたのだ。
憎い。なぜ死なない?
なぜ氷水を死に追いやったお前が生きているのだ?
今すぐにでもこの男の息の根を、止めたいのに。
「……劉帆。
目的が何かは知らないが、これだけの物証が揃ったのだ。
覚悟はいいな……?」
ぎろりと、殺気を纏う雲嵐の鋭い眼差しが劉帆に向けられる。
せっかく仕掛けた術によって燃え盛った炎が、なぜかこの男の覇気によって打ち消されてしまった。
それならと、劉帆は妖術を発動させる術をブツブツと呟いた。
任雲嵐の今の弱点は間違いなく、その隣に大事そうに抱いている「玲」と呼ばれる女だ。
「任雲嵐……お前の想いがどれだけ陳腐か思い知るが良い…!
何度も雪玲妃に似た女達を身代わりにするようなお前など、人を愛する資格はないのだ!!」
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