〈一緒に行こう〉

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 憂炎や良徳ら、葉大将軍らが劉帆確保のために動く。  鋭い呂色の瞳はなぜ、劉帆が自身に憎悪を向けるのか分からないと物語っていた。    「は、ははは………  そうか、そう言うことか。  ……なら「それ」は雪玲妃なのか?」  そこへ来て劉帆はようやく真実に気付いた。  雲嵐が天果の力を持っている事にずっと気付けなかった。  これだけの長い年月、見事に出し抜かれていたのだとようやく気付いた。  「…愛しい者を、お前は蘇らせたのか?」  「…そうだ。」  「は、はは。…二度も?  やはりお前はあの冬雹の息子だな。  狂ってる。」  「何とでもほざくが良い。  覚悟———金劉帆………!」  その時雲嵐は、本気で剣を振り下ろす寸前だった。  しかし劉帆の次の言葉にその動作を止めてしまうことになる。  「なぜ、氷水を蘇らせなかった………!!  なぜ……  その力があるなら自分の母親を蘇らせなかったのだ………!  その力を持つのが、何でお前だったのだ!!  任…………雲嵐。」  力なく吐き捨てた劉帆の様子に誰もが足を止める。  なぜ今頃になって、冬雹の前皇后のことを持ちだすのかと。  ………………………………  …氷水。  やはりこの男がどうしても憎い。  その力が私にもあれば。  この狂った皇帝と同じように、私もきっと君を何度も、何度でも蘇らせたに違いない。
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