長男の卒業【凌太郎×結花】

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弘道さんは俺に対して、内心敵意を燃やし続けてるんだろうと思ってはいたんだけど、実際にはごくたまにしか会わないから実害はないし、俺もそんなに気にしてるわけじゃない。 わかってるけど知らんぷりというか…でも長瀬家男同盟の結花大好きな感じはちょっと、やばいラインすれすれだと思ってる。 むしろ、本来そうであっても仕方ないお父さんが、一番あっさりしているかもしれない。 そのシスコンブラザーズのリーダーだった弘道さんが、結婚? 混乱する俺をよそに、結花は平然としてる。 気持ちを向けられてる本人は、あの異常…と言っては悪いけど、兄たちからの強すぎる気持ちに、何も感じないんだろうか。 生まれたときからされてるから、世の中のきょうだいってみんなあんな感じだと思ってる? …まさかな。 「ヒロちゃんは今年…28になるのかな。学校の先生だし、一般的なタイミングじゃない? 大学の同級生でやっぱり先生になった人と、結婚を決めたって聞いたよ」 …ふ~ん… え、もしかして元カノとよりを戻したとか、そんな感じかな。 ずっと付き合ってたってわけではないような気がするし。 だって、重度のシスコンって普通彼女いないよな。 教育学部を出てるんだから、同級生が先生ってのはものすごく納得がいくんだけど。 今度、こっそり健太さんに探りを入れておこう。 そして、弘道さんが俺を招待してもいいと言っていることも謎だ。 今の段階で俺を結花のパートナーとして親族席に置くわけにはいかないというのは、当然理解できる。 できるんだけど… だったら別に友人で呼んでくれなくてもいいや。 友人じゃないと思うし。 「友人枠で行っても…おもしろくないから行かない」 なんとなく駄々をこねてみた。 多分隣に健太さんはいてくれるんだろうけど、結花たちは一番後ろの家族席で集まって楽しくおしゃべりとかするんだろ? 寂しいじゃん。
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