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俺の家の方でも、那奈が知っているのに俺が親には話さないもんだから、那奈が時々『なんでオープンにしないの?』とかつついてくる。
俺としては、別に大した理由はない。
自分の恋人…ひいては好きな女の子を親に会わせるとか、性格的に進んでしたいと思わないだけなんだけど。
まぁ、そろそろ大人の年齢に入るんだから、そうも言っていられないのかなと思ったりもしている。
その場で千里からお母さんに予定を聞いてもらって、あんまり年の瀬押し迫ってからだとあれだから、年末の祝日にってことになった。
千里も、通話よりはメール派だ。
恥ずかしいのもあるんだろうけど、俺から隠れるようにポチポチ打ってるから、ちょっと覗き込んでやったら怒られた。
でも、ちゃんと『お付き合いしてる人を紹介したいから…』って打ってくれてるのが見えて、かなり嬉しくなる。
千里は気づいてないだろうけど、俺は千里のお母さんとは実は何度か顔を合わせてるんだ。挨拶とかはしてないけど、千里を送って行って手を振ったところで、お母さんが台所の窓から顔を出してくれたことがあって。
会釈だけして帰ってきた。
三回くらいそういうことがあったから、きっとお母さんは千里に男がいることに気が付いて、どんな奴か確認したいと思ってたんだろう。
「部活、大丈夫?」
千里が、最終的にOKする前にそんなことを聞いてくれる。
さすがにその辺は確認してあるから、問題ない。
「年末年始は帰省する部員も多いから、試合は入れてないんだ。
自主練習みたいな形になってるから、連絡さえすれば平気」
調子を落とさないように、自主トレはさぼらないようにするけど。
さくさく決定した川上家訪問日時を、使ってるスケジュールアプリに入力しておいて、穏やかな気持ちで千里に手を振った。
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