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その話はそこまでになって、俺たちは普通に日常を過ごした。
朝から夕方まで、俺も結花も大体講義が詰まってる。
平日は週3で部活。
週末は、土日のどちらかで練習試合もしくは練習。
それ以外の日は、俺は週2で予備校のチューターを続けていて、隙間は全部勉強を詰め込んでるから…
最近は、結花が勉強道具をうちに持ち込んで、一緒に勉強してる時間が、かろうじて確保できている二人の時間だ。
あと食事時間。
なんだかなぁ…と思うけど、勉強とか部活の時間を削ってデートに出かけようとか、俺たちはどちらからも口にしたりしない。
真面目に6年間勉強するって、結花のお父さんとも約束したし。
それがなくたって、そもそも優先順位をたがえたりできる性格じゃない。
俺も、結花も。
それが当然と思ってるから、不満なんてない。
…んだけど。
初めて結花から、俺以外の人と会ってくるからという理由で予定の変更を言われて、ちょっと動揺してる。
頭ではわかってるんだよ。
俺たちは学年が違うし、部活以外では別の人間関係があるんだ。
…俺には部活しかないけど、結花にはある。
結花が大学に入学した時、オケでもブラスでも、希望のサークルを選べばいいと本気で思ってたはずの俺だけど、いつのまにか…結花が自分の隣にいてくれることを当たり前みたいに思っちゃってたかもしれないと、反省したりして。
ちょっと心にモヤモヤを抱えながら、数週間を過ごした。
表面的には何も変わらずに日常のタスクをこなし、いよいよ結花が同窓会に行くという週に入ったところで、俺はヘルプ要請をかけることにした。
ダメだ。
このままだと、結花に『ホントに行くの?』とか言っちゃいそう。
『健太さん、週末時間ある?』
兄貴は、今年のGWに若ちゃんと式を挙げて、その数か月後には関東に異動がかかって一緒に暮らしてる。予定通り…というか、自分の希望通りに周りを動かすのは陰でとんでもなく努力しているからだと知っているから、尊敬しかない。
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