俺より大事?【凌太郎+結花】

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俺としてはありえないんだよ。 若ちゃんは、大事なお姉さん。 兄貴の、たった一人の大切な相手。 それに、結花以外の人を女として見るとか…ありえないし。 でも、そんなことは兄貴も理屈ではわかっていて、その上で本能的に俺のことをライバル視してるんじゃないかなと思ったりしてる。 やっぱり顔は似てるし、昔から…保護対象とはいえ、俺だって幼なじみだったんだし。 若ちゃんが、俺のことをいつまでも子供扱いして甘やかすのも、よくない。 多分兄貴は、自分に向けてくれない表情を若ちゃんが俺に向けることを、面白くないと思ってる。 だから怪我を直してからは、俺は意識的に若ちゃんとの距離を保つように気を付けてきたんだ。 そして約束の土曜日。 結花は朝から自分の部屋を片付けたり、課題を仕上げたりしてからそのまま同窓会に行くと言うので、その日は会えない予定だった。 会わない日に、自分が何をしているかまで報告し合ったりは、さすがにしていない。用があれば連絡してみたりするけど、出かけてたりしたら応答しないことだってあるし。 準備で忙しくしてるだろうし、千里と早めに待ち合わせたりしてるのかもしれないからと思って、結花には何も言わずに健太さんの部屋に向かった。 昔から、健太さんも兄貴も、俺たちを呼んでくれた時に手土産を持っていくと逆に怒られる。 で、帰りに倍くらいのお菓子とか残ったジュースとか持たされるんだ。 だから、今日も俺は手ぶら。 「ちわ~」 もう、地図を見なくてもまっすぐ行けるようになった、速水家のチャイムを押した。 「いらっしゃい」 健太さんが一人で出迎えてくれた。 時間を相談するときに一応確認したら、祥子さんは仕事で海外に行っちゃってるんだって、寂しそうに言ってた。
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