俺より大事?【凌太郎+結花】

5/7

3人が本棚に入れています
本棚に追加
/57ページ
ビールを出してくれたのをありがたく受け取って、歩いてきたから思わずゴクゴク喉に流し込んだ。 俺は、体育会系ではあるけれど、普段は部の飲み会とかにはあまり顔を出さないことにしてる。そんな時間があるなら、結花と二人でいたいし。 優勝した後の打ち上げとか、くらいだな。 しがない大学生だし、食費に金がかかるから、自分でアルコールを買ったりもあまりしない…んだけど。なぜか酒には強いみたいだ。 たまにしかない部の打ち上げで、炭酸飲料のようにビールを飲んでたら、先輩たちに喜ばれてしまったのは記憶に新しい。 「酔っぱらう前に用件話せよ」 健太さんにそんなことを言われて、そうだったと思い出す。 楽しくて忘れそうになってた。 「健太さん…高校の同級生って、恋人より大事なもん?」 俺、本当にわかんないんだよ。 俺にとって大事なのは、高校時代の部の仲間。 部の同期会とか、上下の学年を集めて同窓会とか言われたら、何をおいても駆けつけるだろうけど…クラス会って…俺より優先なんだ…とか思っちゃって。 そんな自分にがっかりしてるというか。 健太さんからは、予想通りの答えが返ってくる。 「…俺も慎太郎も…そこはイコールだから…よくわかんないけど」 …そうなんだよな。 この人たちは、高校時代のすべてを恋人と共有してるんだ。 「俺も次で四年だから…臨床も始まるし、時間は取れなくなるんだよね。結花も、学年が上がってもあまり取得単位が減らないっていうし。 今週末は本当に久々に合わせて休みを取れたのに…急に高3のクラス会に行ってくるとか言われて…」 いいんだよ。 俺以外の友人関係があったって。 いいんだけど…嫌な気持ちが自分の心の中にあることは、否定できない。
/57ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加