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ビールを出してくれたのをありがたく受け取って、歩いてきたから思わずゴクゴク喉に流し込んだ。
俺は、体育会系ではあるけれど、普段は部の飲み会とかにはあまり顔を出さないことにしてる。そんな時間があるなら、結花と二人でいたいし。
優勝した後の打ち上げとか、くらいだな。
しがない大学生だし、食費に金がかかるから、自分でアルコールを買ったりもあまりしない…んだけど。なぜか酒には強いみたいだ。
たまにしかない部の打ち上げで、炭酸飲料のようにビールを飲んでたら、先輩たちに喜ばれてしまったのは記憶に新しい。
「酔っぱらう前に用件話せよ」
健太さんにそんなことを言われて、そうだったと思い出す。
楽しくて忘れそうになってた。
「健太さん…高校の同級生って、恋人より大事なもん?」
俺、本当にわかんないんだよ。
俺にとって大事なのは、高校時代の部の仲間。
部の同期会とか、上下の学年を集めて同窓会とか言われたら、何をおいても駆けつけるだろうけど…クラス会って…俺より優先なんだ…とか思っちゃって。
そんな自分にがっかりしてるというか。
健太さんからは、予想通りの答えが返ってくる。
「…俺も慎太郎も…そこはイコールだから…よくわかんないけど」
…そうなんだよな。
この人たちは、高校時代のすべてを恋人と共有してるんだ。
「俺も次で四年だから…臨床も始まるし、時間は取れなくなるんだよね。結花も、学年が上がってもあまり取得単位が減らないっていうし。
今週末は本当に久々に合わせて休みを取れたのに…急に高3のクラス会に行ってくるとか言われて…」
いいんだよ。
俺以外の友人関係があったって。
いいんだけど…嫌な気持ちが自分の心の中にあることは、否定できない。
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