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「同窓会かぁ…それは行かせてあげれば?」
健太さんは、迷わず結花の味方みたいだ。
そして、この人にこういわれるなら、やっぱり間違ってるのは俺の方。
「やっぱりそう?」
俺が、クラスの仲間との絆を作っていなかったから…ってことなんだろう。
確かに、部の同窓会だったら喜んでいくと思うのは、そこに結花が含まれるからだしな。
「…高校時代って、めちゃくちゃ楽しかっただろ? あ…凌太郎は部活しかやってなかったのか」
健太さんはそんなことを言いながら、高校時代のアルバムを引っ張り出して見せてくれた。
滅茶苦茶楽しそうで、ちょっと…かなりうらやましい。
…そうか。
こんな時間をたくさん共有して…ああいう同級生の仲間が残ったのか。
パートナーとの絆だけじゃなくて、部の仲間が一生の友人になった。
でも、俺にだっているじゃないか。
北見たちをはじめ、たくさんの同級生、先輩後輩に恵まれた。
その中に結花がいる。
今回、俺が入っていけない結花の友人が集まろうと企画して、うらやましかったなら…自分がやればいい。
陰でこんな風に嫉妬したり、モヤモヤしてる自分よりは、前向きに動く自分の方が気に入ってるしな。
仕事上がりに参入してきてくれた兄貴からも、聞いてなかったくせに健太さんと同じようなことを言われてしまった。
「俺たちは…普通の友人の濃さじゃなかったから…結花ちゃんが同級生とこんな関係を作っていたわけじゃないだろうけど、部活一辺倒だったお前よりは、クラスでの友人関係もちゃんと作ってたはずだろ。
やっぱり…若菜を抜きにしても、高校時代って特別な時間だよ。
同窓会くらい…譲ってやったらいいんじゃないの」
そして健太さんから魅力的な提案が。
「元同級生なんて、細い線だ。今日だって、結花ちゃんたちにとったら…二年ぶりの一日だろ。
お前は、恋人として先の約束をする権利だってあるんだから…一晩くらい貸しといてやれよ。
何なら…会場の外で終了時間に待ってれば?」
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