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私たちの学年は今、19歳と20歳が混在しているから、全員お酒はNGという集まりになってる。当時の担任の先生も来てくれるんだって。
だからかな、凌は内心寂しがってるくせに、気持ちよく送り出してくれた。
元々今日は部活がオフの予定だったから、久々に二人でお出かけしようって計画してたのをキャンセルしちゃって、申し訳なかったんだけどね。
…あれ、でもそう聞くということは。
「もしかして千里、来るの…大変だった?」
北見先輩は、そんなに束縛する系統の人じゃないような気がしてたんだけど。
「ん…実はちょっと今、ケンカしてて。
しばらく会ってないんだよね。
同窓会があることを話したのは一か月くらい前だから、そのころは普通に会ってたんだけど…そのあとちょっと、大きめのケンカになっちゃって」
予想外のことを言われて、私の方が焦ってしまう。
「え…千里、大丈夫なの?」
千里のところは…どちらかというと北見先輩が先に千里のことを好きになって、半年以上かけてアプローチして落としたみたいな形だから、千里が離れなければ大丈夫なんじゃないかなと思うんだけど。
だってあの北見先輩が、自分の気持ちを抑えてちゃんと千里の気持ちが育つのを待ってくれてたんだから。
最初は私も、北見先輩に対して勝手に抱いていたイメージが先行してしまって、『本当に大丈夫なのかなぁ…』なんて失礼なことを思ったこともあったんだけど、ふたを開けてみれば北見先輩はちゃんと誠実だし。
早めに待ち合わせたから、ちょっと寄り道していこうと、コーヒーショップに誘う。みんながいるところで、あまり込み入った話はできないから。
同窓会も楽しみだけど、私にとっては千里の方がずっとずっと大事だよ。
コーヒーを二つ頼んで、人の少ない壁沿いのカウンター席に並んで座る。
「…結花ちゃんは、澤田先輩とケンカすることって、ある?」
千里が迷いながら聞いてくるので、考えながら答える。
「う~ん…凌が無茶するのを私が怒るとか、そういうのはちょくちょくあるけど、ケンカっていうのは…ないかなぁ」
そう、私たちは付き合い始めて二年半ちょっと、大きなケンカをしたことがないかもしれない。
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