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千里に告白するタイミングは、私は内心驚きつつ感心したくらい、ちゃんと千里の状況を見て、十分に合わせてくれた北見先輩だけど、本来はオフサイド気味の人だ。
思い立ったらさっさと攻撃してみる、みたいな感じ。悪気は多分、全然ない。
「宿代だって安くないのにさ、私がちゃんと了承してないのに…そこまでされちゃうと、なんかちょっと…ムッとしちゃって」
それに対して千里は、事前にちゃんと計画を立てて、間違いがないことを確認してから動く慎重派だ。
うまくかみ合っているときは、お互いフォローし敢えていい組み合わせだと思うけど、ずれてしまうと…けんかになるよね。
北見先輩と千里は、そういう性格がそれぞれすごくはっきり固定していると思う。
私たちは、二人とも流動的だから、その時々で役割が入れ替わったりする。
凌が暴走気味な時は私が抑えるし、私がちょっと先走ったときは凌が立ち止まる。うん、でも…凌は北見先輩と一緒にいるときもそうだったかな。
あれ、ってことは、北見先輩だって凌を引き留める側に回れるんだから…ちょっと落ち着いて千里のことを見てくれればいいのに。
…楽しみすぎて、舞い上がっちゃったのかな。
千里は、ぶれずに慎重派だもんね。
私も、何度も千里のそういうところに助けてもらってきた。
「うん。すごくよくわかる」
思わず深く頷いてしまった。
行きたくないんじゃないんだよね。
でも家族にどう言おうかとか、いろいろ考えてるのに勝手に決定されちゃったら、ないがしろにされたような気にもなる。
逆に北見先輩からすれば、混む季節だし早めに押さえないとって思ったんだろうということも分かる。
結局、言い方と…言う順番に配慮が足りなかったっていうことなんだろうけど。
「私はもともと長女気質だからさ、思わずたしなめるみたいな言い方をしちゃって。でも拓人は全然堪えてないというか、私がそんなにへそを曲げてることにも気づいてなかったみたいなんだけど。
なんか…せっかく拓人がいろいろ計画してくれてるのに、素直に喜べない自分が、嫌になっちゃって」
ああ、また千里がよくない思考にはまってる。
千里は昔から、自分が悪くないことまで自分のせいみたいに思って引きずるところがある。
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