同窓会に行ってきます【凌太郎×結花】

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受付を済ませて、まだお互い全然変わってないから名札も付けないでそのままお店の奥に案内される。 お店ごと貸し切りだから、店内は知ってる子ばかり。 あちこちに少人数のグループができていて、手を振ってくれる子たちもちらほら。 とりあえず荷物を置いて、開いている席に隣り合って座ったところに、サッカー部で二年の終わりまで頑張っていた井手君と森本君が寄ってきてくれた。 「結花、千里。 久し振り!」 サッカー部マネは基本的に名前呼びが定着してたから、同級生も上級生も基本は私たちのことを名前で呼んでた。 井手君はなんと最高学府に進学した。法律を勉強したいんだって。 森本君は獣医さんになりたいって頑張って、ちゃんと希望の学部に進学を決めた。ただ、最近の傾向で東北の方にキャンパスがあるから、寮で一人暮らしだって。 特進A組に在籍しながら、私たちと違って部員として二年間頑張った二人のことを、私は心から尊敬してる。もちろんレギュラーにはなれないし、公式戦は常にベンチで応援してくれてた。でも、二人とも最初からそのつもりで入部していたし、同じユニフォームを着て一緒に練習したいんだって、よく言ってたな。 マネージャーの手が足りないときは、自分たちから声をかけて手伝いに来てくれたりもしてた。 私と千里はずっと部活と両立して忙しくしてたから、この二人以外のクラスメイトとはそんなに深い関係を作り切れていなかったと思う。 ほとんどの時間を四人で近況報告をしあって、何人かが私たちのところに混ざりに来ては去っていき、わいわいと楽しく過ごす。 井手君も森本君も、木田君みたいに先輩とのことをからかってくるようなタイプじゃなく、話題にも上らない。大学のこと、勉強してる内容のこと、将来の方向性…どこまでも真面目な報告会だ。 充分楽しいからいいんだよ。私はこういう方が好き。 他の子たちも、私たちがサッカー部のダブルエースと付き合ってることは知ってるはずだけど、特に聞かれることもない。 本来自分に自信がなくて、周りからあれこれ言われることが苦手な私にとっては、すごく安心できる空間だ。 あっというまに時間が過ぎて、一次会は解散になるみたい。 「二次会行く人~!」なんて叫んでる人がいるけど、当然私も千里もパス。
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