同窓会に行ってきます【凌太郎×結花】

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お店の入り口からほかの子たちも出てき始めて、さすがに私たちの様子を見てざわつき始めた。遠目だから顔まではわからないだろうけど、凌も北見先輩も体格が完全にスポーツマンだから、ちょっと雰囲気が一般の人とは違うし。 「…牽制するまでもなさそうだから、撤収でいい?」 凌が北見先輩にそう尋ねて、北見先輩も頷いてる。 「強力な味方が二人もいたのを、すっかり忘れてた。最初から頼めばよかったな」 なるほど。 私や千里を心配して、同窓会が終わるのを待ってくれてたんだ。 部活の仲間として時間を過ごしていたから、井出君たちが私たちのクラスメイトだということを、もちろん知識では知っていたけれど、今回の同窓会に二人も参加しているだろうとは思いつかなかったんだね。 あれ、じゃぁ、井手君たちは…凌たちに頼まれてたわけじゃなくて、自発的に私たちのことをフォローしてくれてたってこと? 元クラスメイト達は、私たちのことを興味本位であれこれ質問攻めにしたりしないから、そんなに心配ないと思うんだけどね。でも気持ちはありがたい。 きっと私が、凌と付き合うことになったときにちょっとごねたから、心配してくれたんだろうな。 千里とちらっと視線を交わす。 …でも、私がお礼を言うようなことでもないんだろう。 男同士で納得してるなら、まぁいいか。 私と千里が並んで歩いて、一歩前に北見先輩と井手君、後ろを凌と森本君で並んで歩いてくる。 千里はちゃんと北見先輩と話そうと思ってるんだろうけど、私たちが一緒にいるところでする話しでもないんだろうから。 私が千里の隣にいることで、凌と北見先輩に対して『私が事情を聞いたよ』っていう状況報告にもなるだろう。 森本君が獣医になるっていうのを凌は今初めて聞いたみたいで、興味深そうにいろいろ聞いてる。 まっすぐ駅まで歩いて、『またね』と手を振りあって。同級生二人は、先輩たちに挨拶してあっさり去って行った。 千里は北見先輩と同じ駅だから、下り方面。私と凌はここから一時間上り方面。 チラッと千里に視線を送ると、『大丈夫』って小声で返して手を振ってくれたから、あとは当事者に任せることにする。 電車の中で、凌がぽつぽつと話を聞かせてくれた。
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