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「ん。俺も、あいつらのことにこれ以上介入するつもりはないよ。
…井手たちの存在を、完全に忘れてたからさ。
解散してから駅までの道とか、結花は駅から部屋までも遠いし、そっちの方が心配だったから」
そんな言い訳を聞かせてくれて、キュッと手をつないでくる凌がすごくかわいく思えて、大きな肩に頭を寄せてみた。
でも、私のことを迎えに来てくれる途中で、たまたま北見先輩に連絡してみたってところが、また凌らしいとも思う。
なんだかんだと言いながら、凌は北見先輩のことが大好きだ。
現役時代は、ピッチでのパートナーっていうだけに見えてたけど、凌が怪我をしたあたりから二人の関係が深まっていったかもしれない。
卒業してからも、一緒に後輩たちを支えて盛り立ててくれてた。
住む場所が離れてしまったから、会える機会は多くないけれど、私にとって千里が大切なように凌にとって北見先輩が大事な人になっているんだと思う。
一時間ちょっと電車に揺られて、当然のように凌の最寄り駅で降りる。
無言のまま歩いて、もう通いなれた凌の部屋の玄関を開けてもらって自分から中に入った。
「結花…」
玄関を閉めるなり、抱き寄せられた。
カチャ…
凌がカギをかけてドアガードまで閉めてる音がする。
これはもう、今夜私を部屋に送って帰るつもりはないってこと。
「凌…いいけど…シャワー、浴びさせて」
キスに応じながら、そう頼んでみる。
私はノンアルコールの会だったけど、むしろ凌のほうが健太さんたちと結構飲んでたんじゃないのかな。
ふわっと、アルコールの香りがする。
「ん…冬だし、いいよこのままで」
よくわからない理由で却下された。
凌がそのまま私を脱がせようとしてくるから、一計を案じた。
さすがに、ここでこのまま始められてしまうのは避けたい。でも凌は、なんだか甘えたモードに入ってるから…言っても聞かない気がする。
「…結花…?」
だから、そっと…もう固くなり始めている凌のものに手を触れさせた。
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