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初めて教えられてから、毎回ではないけど…凌が甘えたがっているときは手とか口とかでしてあげることもある。
チラッと見上げると、凌は赤くなってちょっと思案してから、黙って私の手を引いてバスルームに向かう。
私が自分から手を触れるのは「…してあげるよ?」っていうこと。
凌は無理強いはしないけど、されるのは多分好きだと思う。それに、私の方から凌を求めることを、ものすごくうれしがってくれるから。
一緒にシャワーっていうのは、恥ずかしいからなるべく避けたいんだけど、シャワー自体を却下されるくらいなら、一緒でもいいから浴びたいでしょう?
コートは自分で脱いで、通りすがりにハンガーにかけて置く。
脱衣所でさっさと服を全部取り払われて、先にバスルームに送り込まれた。
もう、凌の部屋のシャワーの温度設定とか、迷いもせずにできるようになってる。私用のシャンプーや洗顔フォームも常設してくれてあるし、急に泊まりに来ても全然困らない。
凌の気配がいったんなくなったから、きっと避妊具を用意しに行ったんだなと思う。
数分で凌が入ってくるまでに、私は自分の身体と髪を洗い終えていた。
「結花…怒ってない?」
石鹸を泡立てながら、凌がそんなことを聞いてくる。
…待ち伏せしたから?
そのこともだけど、合流した後の態度を見ていても凌が本気で寂しがってたことがわかるから、私は平気。
寂しいのに、無理して私のことを送り出してくれたこともわかるから。
じゃぁもう、一人で出かけるのはやめよう…なんてことは思わないし、また次にこういうことだって普通にあると思うけど。そのときはまた、凌がちょっと頑張って『行ってらっしゃい』って言ってくれるのがわかってるから。
「…全然。
ちょっと意外で驚いたけど、うれしかったよ?」
私たちは、外で待ち合わせてデートをしたことがほとんどない。
付き合い始めてからの一年間は遠距離だったし、私がこちらにきてからは、どちらかの部屋かグランドか…だから。
私たちは始まりがグランドだったし、私はサッカー選手としての凌のことを大切に思ってるから、全然文句はない。
でも、時々…普通の恋人みたいなことをされると、それはそれでドキドキするし、嬉しいと思う。
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