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多分、お互いを思う気持ちに差があったら、重いとか束縛されてるとか思うのかもしれないな。でも、私たちはバランスよく同じくらいの気持ちで想い合えているような気がするの。
少なくとも私は、凌が私のために一時間かけて迎えに来てくれたことを嬉しいと思った。
凌が寂しがり屋なのも知ってる。
一緒にいられるときは、できるだけ甘やかしてあげたいとも思う。
そしてもし、凌のそんな態度を私が嫌だなと思ったりしたら、その時はちゃんと言葉で伝えるから大丈夫。
「ただ、私よりも凌の方が、気を付けた方がいいと思うよ」
それは本心。
この街にいる間は、大学周辺の女子学生に気を付けるだけでいい。
でもあんな夜の繁華街で…しかも北見先輩と二人で行動するなんて、危険でしかないと思う。
でも凌は、キュウっと私の胸に顔を埋めて抱き着いてきた。
「俺なんかどうにでもなるんだよ。
結花は…綺麗になったし。元々スタイルもいいし。
もうちょっと自覚して、ちゃんと周りを警戒してほしい…」
凌は、最初っから私の胸が好き。
顔を谷間に摺り寄せて、大きな手のひらで揉みしだいてくる。
でも最近は、それは始めのうちだけで…ある程度スイッチが入っちゃったらもう、見向きもせずに入り口を攻めてくる。
凌がこんな風に甘えてくるのは…めったにないわけじゃないけど珍しい。
きっと、私が思っているよりも、今夜の留守番が寂しかったんだろうな。
それとも慎太郎さんに、ガツンと怒られたりしちゃったのかな。
凌が知らない集団だから、心配だったのもあるんだろう。
最初っから、井手君も森本君もいるんだよって、言ってあげればよかったかな。私は凌がこんな風に心配するとは、夢にも思っていなかったから…フォローする必要も感じていなかった。
出会ったときから…まぁ最初はちょっとまだ危なっかしかった時代を引きずっていたけど、どんどんしっかりしたキャプテンに育っていったから、私にとっての凌は基本的にはずっと頼れる先輩だった。
学生時代に一学年違うと、ものすごく大人なように感じたりするけど…個人的に付き合ってみたらただの同年代の男の子。
私と同じように不安になったり、迷ったりもするんだなって、最近はもうよくわかる。
バスタブのふちに腰かけて、私を自分の膝に乗せようとする凌の腕からするりと抜けて、その場に膝をついた。
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