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千里の経歴がどんどん両親に開示されてるのを、聞くともなく聞きながら、ルーティンにしているストレッチを一通り終わらせた。
「来月のイベントも、一緒に準備してくれてるんでしょう。
ホント、うちにも連れてきなよ。私もいるときに」
そんなことを那奈が言うので、そろそろと思って話を終わらせる。
「別に、会いたきゃ自分で会えば。
何で那奈と会わせるためにうちに呼ぶんだよ」
でも両親は諦めきれないみたいで、しつこく追いすがってきた。
「拓人、お父さんとお母さんが家にいる週末の予定を後で送っておくから!」
…マジか。
ここまで興味を持たれるとは、正直思っていなかった。
千里が嫌がらなければ、俺は別にいいんだけど。
でも、土日に休もうと思ったら年末年始期間しかないんだよな。
ちょっと考えて、了承しておく。
「…年明けたら、もう大会始まるから。
冬休み中なら調整する」
とりあえず、千里の意向が最優先だ。
俺が二階に上がろうとリビングを出ると、那奈の声が追いかけてきた。
「拓人、当日のチーム分け、私と千里で預かってるから。
千里がうちに来る日にちょっと時間作って!」
おい。
どっか外でやればいいじゃん。
150人近いOBから現役までを、ほぼ均等にチーム分けしておく作業を、前日までにやっておけとヒロから指令が出てるのは知ってる。
俺とコンタクトが取りやすいという理由で、担当は那奈と千里。
たしかに俺たち三人を合わせれば、上から下まで大体の実力がわかる。
まぁ、それ以外の仕事は全部ヒロが引き上げて、俺と凌太郎をフリーにしてくれてるんだから、文句を言う気は全くない。
でも、まぁいいか。
どこに行っても金かかるし。資料を広げたりするのも面倒だし。
うちならPCもプリンタも使えるから、作業は早い。
「…わかった。俺の把握してるところは分け始めとくから、あとで出席者リスト送っといて」
しかたないからOKしておいて、部屋に戻ってからポチポチと千里にメッセージを送っておいた。
『親に話したら、うちにも千里を連れて来いって押し切られた。
那奈も待ってるから、年明け4日とか5日とか、来れる?』
千里にしてみたら、那奈がいるほうが緊張せずに済むだろう。
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