やっぱり一緒にいたいから【拓人+千里】

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直接会うのは、久々だ。 お互い大学チームの公式試合結果は追ってるけど、特にその都度連絡を取り合うほどでもない。冬の選手権に城咲が出てるときは、野田と会う算段をしたり、インハイに殿前と城咲が両方出られたときにはやっぱりどっかで会おうって話になるんだけど、それも年に一度二度のことだ。 待ち合わせ場所はでっかい改札口だけど、もう見慣れた相手だから遠くからでもすぐわかる。 …やっぱり女に絡まれてるし。 困ってるんだろうけど、無視を貫く凌太郎に内心突っ込みを入れながら、俺はまっすぐ歩み寄ってやった。 「お待たせ」 待ち合わせの相手が女でなかったことで、拍子抜けしたんだろう。 絡んでた女が俺に色目を向けてくる。 「…え、ホントに友達だったんだ。 じゃぁ私も友達呼ぶからさ、一緒に遊ばない?」 …遊ぶわけないだろ。 俺たちは…というか俺は、これから大事な作戦会議なんだから。 めんどくさいから完全に無視したまま、凌太郎と移動することにした。 「…遅い」 かなり精神的に疲労したんだろう。そんなことを呟いてる。 「いい加減にうまいことあしらう術を身につけろよ」 大学三年にもなって、初心すぎるんじゃないの? まぁな、うちと違って単科大だし、しかも周り全員医学部生だし。 普通に生活してればナンパされることもないのかもしれないけどさ。 凌太郎は肩をすくめてそのまま歩を進め、地上に出て少し歩いたところにあったコーヒーショップに入っていく。 コーヒーだけ頼んで、壁際のカウンターに並んで座る。 ちなみに、二人でこういう店に入ったのは初めてだ。 高校の頃は、練習や試合の後に飯を食って帰るってことはあんまりなかったし。たまにあったとしても集団で、ファストフードショップで空腹を満たすためにドカ食いした程度か。 そう考えてみると、当時は本当に友達としての付き合いではなかったんだな。 どうして凌太郎がこんな、珍しい行動をとっているのかも気になるんだけど、とりあえず、話を聞いてくれと言ったのはこっちだ。
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