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同窓会の会場までは徒歩数分。
地図を頭に入れてあるからぶらぶら歩きながら、話をする。
「…まぁでも、ちょうどいいかも。
ついでに千里に頼みたいことがあるから、近いうちに相談させて?」
よっしゃ。
共犯者ゲット。
宿って、もう一部屋空いてるかな。
千里が本気で行かないつもりで怒ってるとは思っていなかった俺は、能天気にキャンセルもせずにヘラヘラと日を過ごしてたんだ。
今となってはアホかと思うけど、結果オーライに収めて見せる。
もう日が近いので、その場から宿に電話をかけて確認すると、何とかもう一部屋確保できたので、その場で凌太郎と交渉成立。
四人で出かける…でもいいし、結花と千里が二人で行くって言ってもいいや。
そこは女子の意向に沿うことにする。
凌太郎と結花は別に、実家への報告義務はないんだけど、千里の家と結花の家が結構ちゃんと知り合いになってるから、そこは話を合わせた方がいいって凌太郎が言うから、従うことにする。
結花の家でお泊り会とかする時も、親同士で確認の電話を入れるのがルールになってるみたいだな。九州に行ったときは、そこに凌太郎の親まで交えて話し合いがされていたらしい。
親同士が顔を合わせていて、多分連絡先もお互いに知っているのなら、たしかに危ない橋を渡ることもないな。成人した大学生同士ではあるけれど、やっぱり学生のうちは保護者の意向に敢えて逆らうことはないと俺も思うし。
社会的には何の責任も取れないただのガキなんだから、悪さをするときは節度を持って、ちゃんと大人には隠しておかないと。
でかい男が二人で、同窓会会場入口に張り付いてるのも迷惑だろうから、道の反対側でなるべく目立たないように立つ。
「気配を殺すのってできるだろ?」
礼の代わりにちょっと指南してやろう。
こいつももう二十歳をとっくに過ぎたくせに未だに無防備すぎて、俺から見てても危なっかしいことこの上ない。
試合中には得意技のはず。
フッと消えて場所を変えるの。
繁華街に本気で男を探す目的で来てる子って、そんなに多くないんだ。
大した用事もなくブラブラうろついてるときに、俺らみたいなのが女を連れずに歩いてたら声をかけてくるのが大半。
そう教えてやると、凌太郎がすぐに実践してくれた。
「そう。あとはキャップを目深にかぶったり、冬なら顔までマフラーを巻いたり」
それでもスタイルとか雰囲気で来ることもあるけど、これでだいぶ数は減る。
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