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土曜の夜に開催された同窓会だったから、明日はまだ日曜。
遠方からくるやつもいるんだから、妥当な開催日程だったな。
「いいよ。明日、試合終わりの時間にグランドまで行こうか?」
一ヶ月先くらいまでの俺の部活スケジュールは、千里に開示してある。
最近はカップルでネット上のカレンダーを共有できたりするから、すごく便利。今回みたいにケンカしちゃっても、俺がどんどん更新していくことはできるし。多分それに気が付いた千里は、俺が関係を終えるつもりは全くないってことを感じ取ってくれてたんだろうし。
基本は日曜の午前中は練習か、練習試合。
千里と会えなくなっちゃう前の段階では、明日は練習の予定だった。
急遽練習試合が入ったのは、3日前のこと。
だから、明日が試合って知ってくれているってことは、3日以内にカレンダーをチェックしてくれていたってこと。
じんわりうれしくなって、千里の頭に顔を摺り寄せてしまった。
「…14時には撤収できると思うから…千里の大学の図書館にでもいてくれる?」
寒いし、ただの練習試合だから、無理に来てもらうこともないだろう。
と思ったんだけど。
「久しぶりに、見に行ってもいいかな?」
なんて、千里が嬉しいことを言ってくれる。
キックオフの時間を伝えておく。さすがにもう、千里が男に声をかけられるとかそんなことでイライラするレベルでもないから。
俺がサッカーをやるのも、あと半年だ。
高校時代からは千里と二人三脚で進んできた、この道の集大成。
いけるところまでいってやろうと思う。
次の大会に向けた戦力の確認と、バランスの確認が目的の練習試合だ。
でも明日は久々に、複数得点でも狙ってみるかな。
普段サボってるわけじゃない。
俺はチームのキャプテンで、時代のキャプテンとキーパーと相談しながら周りを動かすことをメインの仕事にしてるから、俺が点を取ろうとか目立とうとかしないんだ。特に練習試合には、毎回目的があるし。
でも、千里が見ていてくれるなら…久々にちょっと張り切って頑張っちゃおう。
とりあえず、首の皮一枚だったかもしれないけどつなぎとめた大好きな女の子と手をつないで、俺は到着した駅のホームに脚を踏み出した。
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