1日目 アメトラ風スタイルの新入社員

1/1
前へ
/1ページ
次へ

1日目 アメトラ風スタイルの新入社員

草花が芽吹き、進級進学によって立場や環境が変わりそわそわしている者や緊張している者で溢れかえる4月。 今日から私も新しく学生から社会のために働く1人の働きアリとなる。先日、見事入社試験で合格と認められ、慣れないスーツを着て初めて社員として出社する。又、姉に言われた ‘’社会に出たらメイクをするのは当たり前‘’ という言葉も忘れずにちゃんとメイクも施してきた。言うてナチュラルメイク程度で終わらせて来たが為、一部の先輩社員に ‘’え〜メイク薄くないですかぁ〜?もうちょっと濃くしないと男性勢に引かれちゃいますよぉ?‘’ 等と言われる覚悟位なら持っているし、 事前に学生時代の先輩に会社の掟のようなものを叩き込まれているからそこまで息詰まる事は少ないだろう。 「此処が私の初めて社員として認められ今日から出勤する場所か...意外と綺麗‥‥ていうか大きい建物だな...」 東京だからこんなに綺麗なのだろうか。入社試験当日も此処に来たはずなのに、緊張し過ぎて久しぶりに焦っていたせいか一切覚えていない。 辺り一面には見るからにベテランそうなサラリーマンだのバリバリ仕事をこなしていそうなキャリアウーマンだの、中には個性の塊を表に曝け出した格好の若者...否、私と歳の近そうな人間が通りを埋め尽くすように歩いている。 「...よし、入るか。」 一度大きく深呼吸をし、武道家のような気合の入れ方をした後、背中を押してくれているかのように吹いてきた風と共に社内に向かって足を踏み出した。
/1ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加