第一話「もう死ぬしかない……って俺を、蹴るかよ!?」

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第一話「もう死ぬしかない……って俺を、蹴るかよ!?」

8907994c-0996-404f-a8b8-803e1a17333f ()   俺は――もうダメだ。  歩道橋から夜の車道を見おろす。車のライトがすい星のように尾を引いていた。白いヘッドライト、赤いテールランプ。   会社はつぶれ、借金まみれ。遊びすぎて離婚され、娘とは十年前にあったきりだし、女たちはみんな逃げた。ひとりぼっちだ。  ああもう、死ぬしかない……さすがに動悸がする……ドキドキドキと、最後の鼓動が鳴り響いている。  古い歩道橋は車が通りすぎるたびにガタガタ揺れた。俺の手もガタガタ震えるが、もうどうしようもない。  目をつぶって歩道橋の手すりをぎゅっとつかんだとき……ドガッ!! 「痛ってええ!」  蹴とばされた腰をさすりながら振りかえる。  そこには、女子高生くらいのコが立っていた。  短い髪。背中の大きくあいたホルターネックにジーンズ。痩せていて胸はペタンコ。化粧をしていないので、男か女か、区別がつかない。  美人……のような、そうでないような??  そんなことより、コイツは俺を蹴ったんだ。 「何するんだ!? 痛いだろ」 しかし、少年っぽいJKは冷酷に言いはなった。 「あのさあ、飛ぶならさっさと飛んでくれない、アトが詰まっているんだから――」 (第二話に続く)
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