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もう一度ため息をつくと、翔がぱっと笑って言う。
「ママ、じてんしゃにのればいいじゃん! じてんしゃのうしろにのってる子、よくみるよ」
翔は、大人はみんな自転車に乗れるものだと思っている。私は力無く笑って首を横に振った。
「あのね、実は……ママ、自転車に乗れないの」
私の言葉に翔は目を見開いて、大袈裟に「えぇーっ!?」と声を上げた。
私は肩を落として地図を見る。息子にまで驚かれて、情けないことこの上ない。
何度地図を見ても、幼稚園までの距離は変わらない。こんなことなら自転車に乗れるようになっておくんだった。
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