自転車、走れ

4

　日曜日。3月の空は青く澄んで、雲一つない。いつもなら気分良く過ごすのだが、今日は別だ。私の心にはどんよりと雲が立ち込めている。
　翔と茂雄はなぜだかずいぶんわくわくしているようだ。7時から起き出して、いそいそと出かける準備をしている。
「ママはパパの自転車を使えばいいからな、昨日の夜に整備しておいたし」
　茂雄はそんなことを言って私に笑いかける。私は曖昧な笑みを返して、ありがとうと言いつつ俯いた。3人分のお弁当箱に、ウインナーや卵焼きをぎゅうぎゅう詰める。行きたくない、という気持ちも一緒に押し込むように。