恋するやつは検索ができない

1/1
前へ
/1ページ
次へ
私は、自他ともに認める機械オンチだ。現代の学生ではありえないと言われる、どうしてそんなにみんなは携帯を使いこなせるのかどうしてよく分からないのに触れるのか理解に苦しむ。 私はメールと電話で精一杯だと言うのに、最近携帯を使いこなせるのが前提で授業や話が進行することが多すぎる。調べ物学習で検索の仕方が分からずに苦労した、周りからはお年寄りにに教えてるみたいと言われる始末 正直不服だ。 携帯を触れなくても生きては行けるし、二十年以上前まではそんなに携帯電話は普及していなかったし別にそんなに必要無かったじゃないか、話題の中心には常に携帯があり、むしろ上手くつかいこなせなければ変な目で見られる。だって授業でやってないじゃないか、説明書を学校にわざわざ持って行く訳にはいかないし、仮に授業で 国語 数学 理科 携帯 みたいな授業があれは私も常人並に使いこなせるはず。 私の家は普通に機械オンチの家庭だった、父も母もずっとガラパゴス携帯を使っていてスマートフォンに移行する気はさらさらなさそうだ、私がスマートフォンになった理由は時代だ、我が家は携帯は高校生になってから買うことになっているので、私が高校生の時には既にスマートフォンが普及しており、ガラパゴス携帯は店頭に一台も無かったのだ、私はスマートフォンにする予定は一切無かったので、未だに触り方が分からずにいた。 母は過去に一度よく分からない所を触ってしまい高額の料金を請求されてしまったことがある。そして父もよく分からない所を触ってしまい仕事の人の連絡先を全て消してしまったことがある。 そのため両親は私にいつもこう言っている。 「絶対に限られた所しか触っちゃダメよ」 その限られた所がメールと電話だけだった。 両親はメールと電話以外の所を触るとお金がかかるかもしれないと思っているらしいから私も迂闊に触ることができない。本当はゲームもしたいし、気になる動画を見たいけどなんだか、怖い。 調べ物学習があった時にだけスマートフォンを取り出しみんなに手伝って貰いながら検索する。今日の課題はみんなの好きな物 最近気になる物についてだった。班は六人で男子三人 女子三人 と言う半々の組み合わせだった。私はこの班の中で気になる人がいる、その人の趣味や傾向について調べられるのはちょっと嬉しい。みんなそれぞれ色んなことを言っていた、私にとってはどれも新鮮だった、これが最近の流行っているものなのかと思いつつ調べる。 そして私の順番が回ってきた、最近気になる物について喋るとみんなが調べるそして感想を言ってくれる。かわいいねとか センスいいとか 自分が紹介しただけなのになんだか嬉しかった。 私の気になる人の順番になった解説を聞き調べる、そこには私の知らない世界が広がっていた。紹介してくれたのは、ネット限定のドラマと、通販で売っているハンドメイド作品だった。私は気になる人が好きって言ってる物が気になるのではなくって、純粋にこのドラマとハンドメイド作品が気になった。 家に帰って気になったネットドラマとハンドメイド作品を検索してみようとしたが、周りには今頼れる人がいない。学校だったら助けてくれる人がいるが家では誰も助けられない 調べることができない、そう絶望した私はみんなの話題に一生ついていけないそう思った 嫌な潜在意識が私を恐怖に誘う、 決まったところしか触らないで 学校では触れるのにどうして、と悩みながら携帯を机の上に置く。 結局昨日は怖くて触ることが出来なかった 周りは昨日の調べ物学習の話題で持ち切りだった。羨ましかった、私もみんなと一緒に話したいそう強く思った。 私の気になる人が話しかけてくれた、 「昨日の授業のやつ家で見れた?」 私は心臓が飛び出そうになった、まさか話しかけてもらえるなんて思いもしなかったからだ。見れていたらどれだけ良かっただろうと泣きそうになりながら、 「ごめんみれてないんだ」 と答えると、向かうは爽やかに笑った 「あははっやっぱり〜良かった一緒に観ようと思ってたから。」 私は驚いたこんな奇跡があるなんて、もしも昨日家で観ていたらこんなラッキーな事は無かっただろうと思いながら、さっきまで絶望していた気持ちも晴れやかになった。 機械オンチも悪くないと思った。
/1ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加