【 プロローグ 】

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【 プロローグ 】

「お兄ちゃん、そこ違うよ。そこに入れちゃダメ」  私は自分の部屋のピンク色のかわいいベッドの上で、龍之介(りゅうのすけ)お兄ちゃんにそう言った。 「えっ? あ、ごめん……」  お兄ちゃんは、こういうことは何にも知らないからしょうがない。 「じゃあ、若菜(わかな)、ここの穴なら入れていいか?」  私にそう言うから、「あ、うん。そこなら、いいよ」って、恥ずかしそうに答えたの。 「若菜、入れるぞ」  お兄ちゃんは、相当ドキドキしているのか、ゴクリと喉を鳴らす音が聞こえてきた。  だから、私はそっと目を(つむ)り、ゆっくりと(うなず)いた。 「うん、いいよ……」 「行くぞ」 「うん……」  すると、急に部屋の扉を激しく開ける音がした。 『バタン!』 「あ、あなたたち! 兄妹で一体何してるの!」  ママがドア越しに私たちの会話を聞いていたようで、とても怒っている様子。  その時…… 『ビヨヨヨヨ~ン!』  黒ヒゲさんが樽から飛び出し、ママの足元まで飛んで行った。
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