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美的感覚がまったく違うなら、夫婦の会話など期待できそうにない。
業務の一環と思いながら、英彦は美那に言葉を掛けた。
「美那さんはまだ大学に通っていらっしゃいますから、結婚は卒業後がいいと思ってます」
その言葉に反対はないようで、彼女は素直に頷いた。
現在、大学三年生ということだから、あと一年と少しの余裕がある。
その間に、状況が変わる可能性がないとは言えない。
強制された結婚になるから、破棄を期待する気持ちは分かる。英彦も本心では同じだからだ。
だが、その感情は完全に隠す。
「それで、結婚しましたら、家に入っていただきたいと望んでます」
「はぁ?
あたしが家に?どうして。あたし、経済学部に通ってるんですよ。ノースランドでも、この大学の卒業生少ないじゃないですか。
だったら、あたしのような人間が入ったら自慢になるのに」
不満も露わに言ってくる美那に、英彦は失笑をこらえるのが大変だった。
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