第六章 蝶を優しく包み込む

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 「無理はしてません。それに、お金はいくらあってもいい。  将来、もし、私が失業したら、その金で助けてください」  冗談めかして言ったので、佳織はやっと受け取ることを了承してきた。  そして、美那と央司(おうじ)もなんとかサインをしたので、ようやく婚約破棄に関する手続きも完了だ。  不満だった提携条件も、いったん白紙に戻ったし、佳織をノースランドに入れることも(かな)いそうだ。  ここまで順調でいいのかと思うほど、事態は英彦の思うとおりに進んでいた。
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