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荷物を積んだ車が水野邸を出ていくのを、英彦は機嫌良く見送った。
「私たちも家に帰りましょう。慌てなくてもいいですけど、やっぱり簡単に片つけたいでしょうし。
そして、今日はうちの本店から食事を運ばせます。アレルギーはないでしょうか。それと、苦手なものがありましたら、それも教えてください」
「どちらもないですけど、トマト系はそれほど……食べられますけど」
好き嫌いがないと思っていたから意外だが、苦手があると思うと身近に感じられて可愛らしい。
疲れただろう一日に、さして好きでもない食材は除外していい。
「そうですか。それならトマトは避けましょう。疲れたでしょうから、消化にいい物を頼みますね」
英彦に隠れそうなほど華奢な彼女は、守りたいという気持ちを強くさせる。
自分のテリトリーに入れて、呆れるほど甘やかしたい。
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