第一章 出会いは一目惚れ

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 札幌市内で小さなレストランを開店させた夫婦が三十年と掛からずに、北海道中に店舗を展開させる企業へと成長させた。  夢を現実にした人間ということで、父親は経済誌やテレビに出演するようになった。  克弘(かつひろ)は、長男である英彦に相当期待していて、自分の代わりに取材を受けさせることも多い。  ファミリーレストランチェーンという業種なので、広告代わりと出演するようになると、勘違いした女性たちに悩まされるようになった。  英彦は、自分の容姿がどの程度かは理解している。さらに、有望企業の後継者。両方揃えば、女性たちが集団で襲ってきても驚かない。  「そう言うけどな、動物園の珍獣の気分にさせられるのは嫌だぞ」  ノースランドで働き始めた頃は、多少、女性との交際も経験しているが、今はとても無理だ。  軽い交際をしているつもりが、婚約したことになっていそうだ。怖くて、女性に近づけない。  秘書も当然男性だ。
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