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ノースランドに入りたい一番の理由は、佳織への対抗心だろう。
姉は女性社長となる。ノースランドの幹部なら、水野珈琲の社長と並ぶ地位だ。
だが、それは阻止しないとならない。高桑グループは、美那の虚栄心を満たすための組織ではない。
「……少し一人にして。急に言われても困るから」
「分かりました。
こちらの希望を言っただけですから、美那さんにも考える時間が必要でしょう」
譲歩するつもりはないが、考える時間を作るくらいは構わなかった。
だが、美那が急ぎ足で向かった場所に気づくと、英彦は眉をひそめた。
佳織と央司のところへと割り込んでいったのだ。
弟に抱きつくような態度の美那を見て、英彦は呆れた視線を向けた。
節操がないにしても限度がある。
夫になる予定の男性の弟に対して、馴れ馴れしい態度。
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