第三章 最初に会話を交わすのは……

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 両家の親の前で、姉の結婚相手になる予定の男性に平然と密着する女性を、どうやって愛すればいいのだろうと、英彦は真剣に思う。  そして、失望は弟にも向かった。  素晴らしい女性を放って、性的にだらしない女の言葉に赤くなっている。  一瞬、それなら佳織に話しかけてもいいのでは、と思ったが、英彦はそんな自分に苦笑した。  だが、三人をそのままにするわけにはいかない。  薄い笑みを浮かべたまま、英彦は央司(おうじ)に声を掛けた。  「央司、おまえが美那さんと話したいなら、私から止めることはない。  ただ、自分の立場は理解できてるとは思うが、どうだ」  弟に対して苛立(いらだ)った時の口調だったから、効果はてきめんだった。  即座に佳織を連れて美那から離れていった。  男慣れした女の誘いよりも、兄の叱責(しっせき)()くのだから、まだ大丈夫だろうと少しホッとした。
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