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否定の必要はない。
書斎の三面の壁に本棚を作りつけた。
彼は仕事が趣味のような人間なので、業務に関する書類を読むことは楽しいくらいだ。
だが、佳織は美術品を楽しむ趣味もあるようだ。
英彦はクリスタルのオブジェに詳しくないが、見ていると心が安らぐ物が並んでいて、佳織の好みの高さに感嘆した。
「こちらのコレクションも素晴らしいですね」
素直に褒めると、佳織は嬉しそうに返してきた。
「ありがとうございます。好きなものを揃えたんです。疲れた時に癒されますから」
芸術的価値よりも自分の好みを重視する。
価値基準をきちんと持っているらしい。
社交活動で、相手の評価を冷静にしてくれるだろうと、英彦は期待する気持ちになった。
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