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キーボードを操作していた弁護士の指が止まって、英彦に確認してきた。
「英彦さん、どうでしょう。克弘さんからは了承をいただいてますけど」
頷いて、慎重に画面に書かれている文章を読む。
特に重要なのは婚姻契約書だ。雇用関係終了なら、退職届でも構わないからだ。
読み進めていくと、笑いをこらえるのが難しくなってきた。
書類は面倒な法律用語で書かれているが、内容を読み取ることは難しくない。
簡単に言うと、央司と美那は絶対に結婚しなくてはならず、破棄をした相手-佳織や英彦との結婚は不可能という文章が入っている。
英彦は読みながら、弁護士と父親をちらりと見る。
弁護士は了承の返答を待つ表情で、父親は少し複雑な顔だった。
当然だと思う。
長男は婚約破棄をされた被害者だが、その原因が次男なら割り切れないだろう。
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