672人が本棚に入れています
本棚に追加
黙ったまま二人で並んで歩いた。颯祐の右手が僕の左手に触れると、指を絡ませて繋いできた。恥ずかしくなって、真っ赤な顔をして俯いて歩く。
「キスしてって言ったの漣じゃん」
「えっ!?」
何でそんな事言うの!?僕は更に顔が赤くなるのが分かった。
「手ぇ繋いで、顔、真っ赤にしてるから」
「だって…」
「全く可愛いんだからよ、漣は。またキスしちゃうぞ」
立ち止まって繋いだままの手を上げて、僕の頬をツンツン、とする。
「ここじゃ、駄目だよ…」
「どこならいいんだよ」
笑って颯祐が言う。
「今日、お母さん帰らないから…」
今日から母親は仕事で地方へ行っている。父親もきっと帰って来ない。だから僕はそう言ってしまった。
「な、何、言ってんだよ」
颯祐は明らかに狼狽えていた。それでも、
「祐実おばさんには、友達の家に行くって言えばいいじゃない!正面から入れば颯祐がウチに来てるのバレないよ!」
「だ、ダメだ!」
繋いだ手を離すと、僕に背を向けた。
「颯祐…」
僕があまりにしょんぼりとしていたせいか、
「少しだけだぞ」
僕の目を見ずに言った、颯祐の顔は少し赤らんでいる様に見えた。
少しだけで全然構わない!颯祐の想いを知れて、初めて二人きりになれるんだ、僕はもう、ドキドキなのかワクワクなのか分からない気持ちで胸が弾んだ。
✴︎✴︎✴︎
「夕飯の支度、テーブルの上にあったね、祐実おばさんが作って用意してくれてたんだね、きっと颯祐のウチも同じ夕飯かな?」
僕の部屋に二人きりになり、途端に恥ずかしくなってペラペラと喋り始めた。
「ああ、漣の部屋、なんか久し振りだな」
部屋を見回し颯祐が呟く。大抵、颯祐の家に行っていたから、確かに、僕の部屋に颯祐が来るのは久し振りだと思った。僕の部屋にいる颯祐が大きく見えて、そうだ、最後はいつだったんだろう、とそんな事を考えた。
「なんか飲む?食べる?お腹空いてるよね?持って来るよ、あ、ダイニングに行く?」
気恥ずかしさが収まらなくて、颯祐の顔を見る事も出来ずに僕はまた話し出した。
「漣を、食べる」
え? 頬も耳も、身体中が熱くなってドキリとして焦ってしまう。
「ここなら、いいんだろ?」
「キ、キスね…」
颯祐の顔がもう唇に触れる程の近さに寄って、僕の後頭部を押さえ付けた。
「キ、キス、だけだよ…」
小さな声で言って少し颯祐の胸を押し戻す様にすると、一気に颯祐がキスをしてきた。さっき、帰り道でしたキスよりも激しくて、戸惑う。
颯祐の硬くなったモノが、僕の臍の辺りに当たると、グイグイと押し付けて少し腰を動かしている。
「漣…漣…」
はぁはぁと荒い息を漏らしながら、僕の股間に手を伸ばしてきた。
「そ、颯祐、キスだけ、だから、ね…」
触られた僕のモノも硬くなっていて恥ずかしくて、触っている颯祐の腕を掴んで離そうとした。
「ああ、キスだけな。漣のココにキスする」
いきなり床に座ると、制服のスラックスの上から硬い僕のモノに唇を這わせた。
「だ、駄目だ、よ…」
颯祐の頭を掴んで、僕の股間から離そうとすると下から僕を見上げて
「気持ち、いいだろう?」
片唇を上げてニヤリと僕を見る。
ゾクゾクした。自分で触るより何倍も興奮して、ガクガクと震えた足が耐え切れなくなり堪らずにベッドに座ってしまった。
今度はまた唇にキスをすると、ベッドに押し倒し、僕のスラックスのベルトを外し始める。
カチャカチャと金属の音が小さく部屋に響く音を聞きながら、ぼくはもう抵抗する気など全く無くなっていた。
「パンツ、濡れてる」
僕のスラックスを膝までずらし、我慢汁で滲んだ、ボクサーパンツの膨らんでいる部分を撫でながら颯祐が言う。恥ずかしい。手で顔を覆ってしまった。
「漣の可愛い顔が見えない」
そう言って、僕の両手首を掴むと、横に広げて押さえつけた。
最初のコメントを投稿しよう!