近付く別れ

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 右腕に持っていた貰った絵が落ちそうになり、慌てて掴まれた腕を払って堪えた。 「せっかく描いてくれた絵、落としちゃうところだったじゃないか!」  本当にムッとしてしまい、怒って僕は颯祐に怒鳴った。 「ごめん……」  颯祐の唇が僕の唇に触れる。  一瞬で思い出す、颯祐との熱いキスを。貰った絵はしっかりと持ったまま、颯祐の舌を受け入れた。堪らずに絵を下に置こうとしゃがむと、舌を絡ませたまま颯祐もしゃがんだ。玄関で二人、しゃがんだままキスを続けた。僕は背負ったリュックも下ろし、颯祐にしがみ付く。  はぁはぁと荒い息と飲み込む生唾に、見つめ合ってまた唇を重ねた。 「俺の部屋に……」    颯祐と繋がった。ひとつになれた。最中も嬉しくて、幸せで、ずっと涙を流していた。 「痛くないか?」  僕を心配してくれている。痛い、結構思った以上にお尻が痛いけれど、それよりも嬉しさの方が何倍も上だった。 「大丈夫」  僕は微笑んで答えた。愛おしそうに唇にキスをくれる颯祐に、僕はまた反応してしまい、今度は口で愛撫してイかせてくれた。  颯祐が九州へ行くその日まで、僕達は時間が許される限り愛し合った。 「九州に遊びに行ってもいい?」 「勿論だ。来週部屋を探しに行くんだ、漣も行くか?」 「本当!?行ってもいいの!?」  嬉しくて颯祐の上に被さった。跨ってキスをして、上から挿れて腰を動かすと、颯祐が下から突き上げて来る。  今日はこれで、何度目だろうかと思う絶頂。  結局、学校があるからと、一緒に九州には行けずに、少し不貞腐れた僕をなだめる様に愛してくれた。  幸せだった。  あんなに颯祐との別れが辛くて耐え切れずにいたのに、今は平気だった。離れていても、心は繋がっていると思えたから。  颯祐に貰った絵は、僕の部屋に飾ってある、幼い頃に貰った絵と、並べて飾っているので颯祐が恥ずかしがる。 「こっちの絵まで壁に飾る事ないだろう?」  颯祐と初めて会って間もない頃に貰った絵。あの時の嬉しさを今でも忘れていない、絵を見る度に、あの喜びを思い出せる。 「駄目だよ、この二つの絵は僕の宝物なんだから」  そう言って満足気に笑う僕の首筋に、後ろから抱き付いてキスをした。 「また、背、伸びた?」  首筋に唇を這わせて颯祐が訊く。 「どうだろう?確かに、抱き付いた時、昔は胸にすっぽりと入っていたもんね」  高校に入ってから、僕は背がどんどんと伸びて、190cmを超える颯祐の耳のあたりにまで、僕の身長も伸びた。  こんな大きな男二人が暴れて、よく壊れないものだとベッドに感心する。
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