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「でもさぁ、変じゃない?」
「何が?」
あれから加藤君と僕は、今まで以上に仲良くなって、色んな話しをする様になった。
今日は一緒に映画を観て、カフェでアイスコーヒーを飲んでいる。
「俺で気付いたんだよ、天海君と颯祐さんの事。天海君のお母さんとか、颯祐さんのお母さんが気付かないって、変じゃない?」
言われて初めて気が付いた。加藤君が気付く位の僕達に、母親達が気付かないのも変だな、と。
「それにさ、颯祐さんと連絡つかなくなってから、颯祐さんの近況も聞けてないんでしょう?」
僕から祐実おばさんに颯祐の事を訊くのは、やましい気持ちがあったからか、憚われた。そうだ、考えてみたら祐実おばさんから颯祐の話しを聞いた事がない。
彼女が出来たのなら、おばさんに位言ってもいいのに。僕に知られると思ったのかな?それとも、相手は男の人なのかな?
何だろう、彼女より相手が男の人の方が胸が痛い。
じゃあ…
「最後になった電話に出たのは誰?」
「それは、俺にも分からないよ」
そうだよね、訊いておいて僕は納得してしまう。
そんな推理をしたところで、僕はもう、颯祐と逢える事はないんだから、そう思ってちょっと笑った。
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