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さて、10分間の休憩も終わった事ですし、九条ゼミの百物語大会後半戦を始めていきたいと思います。僭越ながら、後半戦の最初は私、1回生の魚躬癒能が担当させて頂きます。
では早速、お話を始めさせて頂きたいのですが、ごめんなさい。私は実はホラーとかミステリーといった怖いお話が苦手なんです。なので、少しファンタジーチックなお話になってしまうと思います。座を白けさせてしまい申し訳ないですが、皆さんにはその分おっかなびっくりせず気楽に聞いていただけると思いますのでよろしくお願い致します。
これは私が病院に長期入院していた頃の体験です。既に皆さんご存知の通り、私は今でも原因不明の難病を患っています。四肢が動かない為、車椅子で常に移動しており、物を掴む時は車椅子に搭載されたリモート・マニピュレーター(機械の腕)を使用しています。それだけではなくて、心臓に爆弾を抱えており……。あ、これは勿論、比喩なのですが。下手をするとちょっとした事で心肺停止になりかねないレベルの不整脈の症状が出ることも過去にはありました。今は少しマシになっていますけどね。
このように不自由な身体だった為、私は幼少期から高校三年生まで、ずっと病院で過ごしていました。当然、気が滅入る事も多く、私はずっとたった一人の病室で塞ぎ込んでいたんです。そんな私を救ってくれた人が居たっていうお話です。
あえてタイトルを付けるなら、「虚弱少女の生きる意味」……って感じですかね。あんまり楽しくないお話かもしれませんが、お付き合いください。
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